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映画「それでもボクはやってない」

 公開中に見逃していた。発売されたばかりのDVDを見た。非常によく出来た作品だった。
 最初に痴漢の冤罪事件の映画と聞いたときは、「そんなもので持つの?」と思った。「持つ」というのは、つまり映画は2時間以上はあるだろうから、途中で飽きてしまうのではないかということである。ところが、映画は実に緊迫していて、143分間、「飽きる」なんてことはまったくなかった。周防正行監督の力量を改めて教えてくれた。
 監督の力量は細部によく現れている。登場人物のちょっとしたしぐさや表情がドラマ全体のリアリティーを支えている。ストーリーは裁判の進行からはみ出すことはほとんどない。元恋人らしき女性が出てくるが、映画はその「いきさつ」といったところに逸脱することはない(凡庸な作品なら、たぶんそんなふうになる)。
日本の刑事裁判の有罪率は99.99%という。だが、この映画はそのことが、逆に警察・検察・裁判官・弁護士の思考を呪縛してしまっていること明らかにしている。これはある意味で転倒しているのだ。有罪率99.99%は、まちがいなく日本の警察・司法の、ある種の「優秀」さを示しているのだろうが、それはあくまでも「結果」なのだ。つまり「出口」が「入り口」から途中の「道」までを決めてしまっている。
 この作品は、おそらく今年の日本映画のベスト・ワンだろう。
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2007年08月07日 感想/映画編 トラックバック:0 コメント:0

小田実氏の死

本当に久しぶりに書いてみました。 

小田実氏が死去した。
 朝日をはじめ、訃報は大きな扱いで、追悼記事も鶴見俊輔氏(朝日)のものなどが出た。
 個人的な記憶を一つだけ記しておく。新聞記者をしていた当時、2回ほど小田氏に会った。一度は、北朝鮮から帰国したばかりのときで、文芸担当記者を通じて「ぜひ、話したいことがある」ということだった。私が考古学や歴史関係を担当していたためで、「ぜひ、話したいこと」の中身は、小田氏が北朝鮮の考古学者から聞いたという好太王碑(広開土王碑)についての「最新の研究」だった。
 好太王碑の碑文については、日本によって都合のいいように改竄されたという「研究」があった。小田氏が語ってくれた話の内容は、この「研究」の線に沿った話で、一介の考古学記者である私にとっても新しい知見ではなかった。
 印象的だったのは、北朝鮮研究者の見解を疑いもなく信じて熱っぽく語る小田氏の姿だった。ここで、好太王碑の碑文研究の詳細について語ることはできないが、一言で言えば、当時すでに「意図的な改竄はなかった」という考えが主流になっていた。小田氏は考古学の専門家ではないから、そのあたりのことをよく知らなかったとしても批判はできない。だが、北朝鮮の研究者がこういっているから、それが真実だ、という精神的態度は十分批判に値しよう。
 文学者としての小田氏の評価は私にはできないが、べ平連など社会運動の面で彼が残した足跡が大きなものがあると思っている。だから、私の個人的な回想には彼を貶める意図はない。ただ、その硬直した思考態度には「何でも見てやろう」の柔軟さはなかったことは確かである。

2007年08月06日 感想/その他 トラックバック:1 コメント:0

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